Till the dream ends

果てるまで

【SV S16 最終69位】瑠璃色のアーカイブ

 こんにちは、らいのです。

 今回は、S16にて使用し、自身初の最終2桁となる最終69位(レート2121)を達成した構築を紹介します。この環境で勝つための思考の過程や面白いポケモンなどを詳細に記載しましたので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

 

【結果】

TNらいの 最高最終2121 69位

TNしおりはがき 最高205x 最終2014 324位

サブTNの由来はにじさんじ・栞葉るりさん(のFAタグ)から

 

【使用構築】

・少なくとも4月中はレンタルを残します。ぜひ使ってみてください。

 

 

【コンセプト】

・選出誘導により相手の選出を限定し、自ら噛み合わせに行く。

・想定しづらいずらした型を使うことで、自ら噛み合わせに行く。

 

 

【思考過程/構築経緯】

①SVという「噛み合い」環境

 このSVの環境はよく「噛み合い」環境だと言われる。実際に、相手の型がこれだから勝った、この動きをされたから負けたというような試合が多いのは間違いないだろう。しかし、試合に勝ちと負けが存在する以上は、噛み合わせた側が正義であり、「噛み合って負けた」等と言っている場合ではない。であれば、選出誘導を用いて能動的に望ましい噛み合いを引き起こし、敗北行きのルートに相手を乗せてしまおうと考えた。

 

②「選出誘導」の分析と誘導役の選定

 選出誘導の考え方はもはや一般的に浸透している方策ではあるが、一口に「選出誘導」と言っても、相手に対して対策枠の選出を強要する「正の選出誘導」(例: キョジオーンが隠密サーフゴーなどの選出を強要する)と、相手に特定のポケモンを選出させない「負の選出誘導」(例: 岩オーガポンが炎オーガポンの選出を抑制する)の2種類が存在している。

 その中でも今回はディンルーによる正の選出誘導を行おうと考えた。ディンルーが選出誘導役として優れている点は以下の通りである。

・一般的に「初手に来るステロ撒き」として認知されているため、初手に対策枠の選出を強要する(=こちらはそこにカウンターを合わせれば良く、どこで対策枠が選出されているかわからない誘導よりも、机上論で組み上げた展開を再現しやすい)。

・[高耐久+ステロ飛ばし+カタストロフィ]により、対策を怠れば盤面を大きく荒らされてしまう。そのため、相手に対して対策枠を強要する力が非常に強力である(同じく初手の選出誘導役として知られるキラフロルは、裏次第では対策を放棄することも可能である)

 

③誘殺役の選定

 一般論として、ある動きを対策する動きを逆に対策する際、真反対のベクトルをもつ動きを用いるのが効果的である(例: 直線的な動きに強いママンボウ+積みなどの崩しに強いエルフーン)。この論点から、ディンルーの持つ要素を分析する。

・ディンルーは圧倒的高耐久を持っており、真っ当に殴って倒そうとしても仕事を完遂されてしまう

・一方、火力が高いわけではない

・ゆえに、挑発/アンコールなどの補助技や定数による削り、及び中耐久中火力による殴りなどが対策として採用される。

 以上の分析から、ディンルーは「仕事を完遂するのに時間が掛かるが、じわじわと相手の足元を崩していく」ポケモン。そして、そこに強い動きとして「定数や補助技などを絡めじわじわと削って倒そう」とする動きが考えられる。

 であれば、その真反対に存在する「テラスタルのパワーを借りて対面的に相手を瞬殺しにかかる」動き、すなわち「初手テラス」が強力に作用すると考えた。そこで今回は、ディンルーが呼ぶパオジアンや非襷のウーラオス、挑発持ちのハバタクカミや炎オーガポン、渦カイリューなどを倒しにかかれる”毒テラス+シルクのスカーフ”赫ガチグマを採用した。

 一方ディンルーは、受け対策として強力な、”飛行テラス+ステロ撒菱×吹飛ばし+眠る”型で採用した。

 

④後続の分析と選定

 2番手3番手の選定にあたり、初手の赫ガチグマが相手の2番手にどのように倒されるかを考えると、(1)毒テラスに対しランドロスカイリューなどの地面技で倒される (2)初手の削りを引き継ぎウーラオスや炎オーガポンに殴って倒される (3)ハバタクカミの瞑想の起点にされる の3つが想定された。

 そこで、(1)の動きに対して"最速アンコール+竜の舞”で起点にできる”最速+スケショ+竜舞アンコ”カイリュー、(2)の動きに対して”エレクトロビーム””メテオビーム”で切り替えしながら、(3)に対しても”ミラーコート”で切り替えせる”最速+ハーブ+ミラコ”ブリジュラスをそれぞれ採用。赫ガチグマ+カイリュー+ブリジュラスを基本選出とした。

 

⑤補完枠の分析と選定

 最後に補完枠を考える。まず、初手に赫ガチグマを置くことができないケースを考えると、(1)相手にイーユイがいる場合 (2)イダイトウ入りなど、ガチグマを後発で置きたい場合 の2つが考えられたため、そのどちらの場合でも初手置きが可能なきあいのタスキ”パオジアンを採用した。

 ここまでの5体に加え、ランド絡みに出そうと瞑想ドレキハバタクカミを入れて潜っていたが、基本選出が強力でハバタクカミを選出する機会がなかったこと、雨パなどステルスロックを無理矢理にでも撒いてくる構築に勝率が安定しなかったことなどをふまえ、展開阻止が可能なエナジー+挑発+痛み分け”型に変更し、構築が完成した。

 

 

【単体解説】

ディンルー@たべのこし テラス: ひこう

ステルスロック/まきびし/ふきとばし/ねむる

ずぶとい H212 B116 D180 (257-*-176-*-123-65)

H16n+1(n=16) B11m Dあまり

 

・受けループを初め、受け絡みの構築に対して選出し、”ステロ撒菱+吹き飛ばし”で相手をゴリゴリと削っていく。特に、現在の受け絡みの構築はヘイラッシャなど高速再生技を持たないポケモンや攻め駒が1体はいることが多く、そのような構築相手には絶対に負けない(ステロ+撒菱×3で相手のHPが3/8削れるため、3回踏ませれば倒せる=眠るは問題ない)。

 

・数ターンかけないと倒せないディンルーにとって、”眠る”は非常に強力な技だった。あと1つの技を攻撃技だと勝手に推測した相手は、目の前でお昼寝を始めた鹿の化け物を前に、降参ボタンを押さざるを得ない。

 

”飛行テラス”は対へイラッシャの「地割れ無効」対グライオンの「地震無効」対クレベースの「ボディプレス半減」が非常に優秀。突然浮かび上がった厄災を見れば、絶望した相手も天に召される。

 

 

赫ガチグマ@シルクのスカーフ テラス: どく

ブラッドムーン/だいちのちから/ハイパーボイス/しんくうは

ひかえめ H148 B28 C212 D4 S116 (207-*-144-200-86-87)

C: ブラッドムーン+しんくうはでH252D4炎オーガポンを確定

S: 前期4位の個体+1

B: 連撃ウーラオスの水流連打の乱数がずれるライン

 

・VSイーユイ、VSイダイトウを除いて初手に選出し、テラスを切りながら対面1on1を打ち勝つ。圧倒的高火力による圧力から相手に交代ボタンを押させず、押したとしても出てきたポケモンは葬り去られる。ラスタルさえあれば確実に1体は倒し切る性能を持っている、唯一無二の破格のポケモン

 

”シルクのスカーフ”は受け崩しなどで採用されがちだが、「想定外の火力により相手の処理を狂わせる」効果があり非常に強力だった。特にブラム×2を耐える調整の渦カイリューや、ブラム+真空波を確定耐えする調整のハバタクカミに対し有効に働いた。

 

”毒テラス”は特に対ウーラオス対ハバタクカミにおいて安定した行動保証として作用した。本来ノーマルテラスでなければ出せない火力を今回は持ち物によって補うことができていたため、テラスタルを耐性変化として使用することが可能だった。また、毒テラスを見た相手が、”あくび”などを読んで挑発を押したり、ハイパーボイスの存在を切ったりと、型の誤認にも一役買っていた。

 

・Sをかなり高めに設定したものの、相手のガチグマに上を取られるケースがまれにあった。一方で相手のウーラオスに初手からテラス水流連打を打たれるケースはなくB振りが活きる場面はあまりなかったため、BをSに回しても良かったのかもしれない。

 

 

カイリュー@いかさまダイス テラス:はがね

f:id:rayPoke0319:20240402173222j:image

スケイルショット/アイアンヘッド/アンコール/りゅうのまい

ようき H4 A252 S252 (167-186-115-*-120-145)

S: 相手のカイリュー地震をアンコールするため最速

 

・後発から展開し、赫ガチグマを倒すために打った地面技や、ブリジュラスを倒すために打ったアクアジェットなどをアンコールし、そのまま竜の舞の起点にしていく動きが、シンプルながら強力。

 

"アイアンヘッド"地震との選択になるが、地面タイプ2体採用の本構築には鋼タイプが出されづらいという予想の元、やや重いハバタクカミに対する迅速な処理を優先し採用した。不意の鋼テラスに対し地震が欲しい場面もあったが、アイアンヘッドのお陰でハバタクカミを倒せた試合や、30%の怯みに救われた試合の方が間違いなく多く、正しい選択だったように思える。

 

・この"スケショ+アンコ竜舞"カイリューラスタルを必要としない点が魅力の1つではあるものの、言わずもがなテラスタルを切った際のバリューは高い。赫ガチグマが初手対面でテラスタルを切る必要がなかった場合、死に出しカミなどにもテラスを切らずカイリューの起点にする動きを何度か取ったが、多くでそのまま全抜きを果たしてくれて非常に強力だった。

 

 

ブリジュラス@パワフルハーブ テラス:でんき

f:id:rayPoke0319:20240402174730j:image

りゅうのはどう/エレクトロビーム/メテオビーム/ミラーコート

おくびょう B4 C252 S252 (165-*-151-177-85-150)

S: 準速ウーラオスを抜くため最速

 

・こちらも後発から展開し、ガチグマを倒しに来た相手のウーラオスや炎オーガポンに対し、2種のビームで切り返す。特にメテオビームは殆ど警戒されず、遅い炎オーガポンを無償突破する展開が度々見られた。

 

・レギュレーションFを代表する「噛み合い」ポケモンであり、型の幅の広さから一つ型を読み違えると、一つ処理を誤ると甚大な被害をもたらすポケモンであるため、いかにこのポケモンを自分に都合よく使えるかがこのポケモンを使う上での鍵だと感じた。今回は”エレクトロビーム”による火力の押し付けが可能な型に、自らの火力を全く要さない”ミラーコート”を組み込むことで、1体のポケモンの中に真逆のベクトルを持つ2種の動きを埋め込み、多くの相手に対して動きを噛み合わせることができ、革命級の強さだった

 

・例として、ウーラオスをエレクトロビームで倒したあと、裏から出てきたハバタクカミやガチグマを、頑丈を盾にミラーコートで返り討ちにして勝利という試合がかなり多かった。これには、”頑丈”と”持久力”の2種の特性の噛み合いによって、相手の死に際に先制技で行動保証を削られるという展開を許さなかったことも要因として挙げられるだろう(この2種の特性が真逆のベクトルを持っていることが、ブリジュラスが「噛み合い」ポケモンと評される所以なのだろう)。

 

・死に出しで繰り出すまでの45秒をわざと使い、「持久力でテラスもないから上から殴られちゃう…><」のような顔付きをしながらブリジュラスを繰り出すという戦法を何度も行った。実際に有効だったかはわからないが、このポケモンは型を誤認させることが重要なのでそのためには盤外戦術をもいとわず行った。

 

 

パオジアン@きあいのタスキ テラス: ゴースト

つららおとし/うっぷんばらし/せいなるつるぎ/ふいうち

いじっぱり A252 B4 S252 (155-189-101-*-85-187)

A: 火力が欲しい場面が多かったため特化

 

・イーユイ入りや、赫ガチグマを後発で置きたいときに初手役を務めた。常に初手の1on1に勝利できた訳では無いが、初手役として、テラスタルを使わずに最低限の働きは常にしてくれていたように思える。

 

・”うっぷんばらし”は31日の21時頃までは”サイコファング”で使用していたが、オオニューラ入りに対しては毒テラスの赫ガチグマを選出するためあまり打つ機会がなく、一方で1試合だけラス置きをした際に甘えるハバタクカミに敗北してしまったため、急遽採用した。結果として、最終2桁を賭けて2100から潜った試合では、初手サーフゴーを鬱憤晴らしで無償突破、死に出しのガチグマに氷柱落としを当ててそのまま降参をもらい、変更が神の一手となってくれた。

 

・余談だが、この変更は深夜に夜ご飯を食べにお散歩をしていた際、以前最終日の潜り方のアドバイスとして「負け試合はちゃんと反省しろ」と言われたことを思い出して行ったものである。身を持ってその教えの大切さを実感できた経験は非常に大きなものだと感じている。

 

 

ハバタクカミ@ブーストエナジー テラス: はがね

ムーンフォース/シャドーボール/ちょうはつ/いたみわけ

ずぶとい H252 B252 S4

HB: ウーラオスの水流連打+アクアジェットを少しでも耐えるため特化

 

・構築のうち3体がステルスロックにより行動保証を失ってしまうため、雨パやディンルー入りなどステルスロックを撒かれてしまう構築相手に初手で選出した。ただ、対面的な打ち合いが強い型ではないため、ステロ撒きが初手に来なかった際にやや不利を取ってしまうのが微妙だった。この構築の諸説枠と言える。

 

・この型は受けループに強いことが魅力の一つではあるが、その役割はディンルーが果たせるため、その点もあまり噛み合っていなかったと言える。

 

 

【選出】

◯赫ガチグマ+カイリュー+ブリジュラス (ラティ入りにはどちらかをパオジアンにする)

・7割ほどこの選出。VS big7系統、ランドロス入りなど、イーユイのいないスタンパに対してはほぼすべてこの選出をしていた。初手の赫ガチグマには目の前の1on1に勝利するため積極的にテラスタルを切った。

 

◯パオジアン+(赫ガチグマ, カイリュー, ブリジュラスから2体)

・イーユイ入りに対する選出。赫ガチグマを選出している場合は赫ガチグマに、していない場合は柔軟にテラスタルを切る。

 

◯パオジアン+赫ガチグマ+ブリジュラス

・雨でないイダイトウ入りに対する選出。ラス1イダイトウに対して、テラスを残した赫ガチグマor頑丈の残ったブリジュラスを対面させることを意識する。

 

◯ハバタクカミ+(赫ガチグマ, カイリュー, ブリジュラス, パオジアンから2体)

・ディンルー入りや雨パに対する選出(イーユイがいてもこれ)。雨パにはブリジュラスを必ず選出する(エレクトロビームを連発できるため)。パオジアンはあまり出さないが、ラティがいた場合は選出する。

 

◯ディンルー+赫ガチグマ+カイリューorブリジュラスorハバタクカミ

・受けループやママンボウ入り、その他受け系統に対する選出。ガッツリ受けに寄っている構築相手にはディンルーが安定するが、対面選出も用意しているような構築相手には慎重に選出する。

 

 

【あとがき】

 ずっと「自分に2桁を取れないわけがない」と思い続け、いろいろな方に期待や応援の言葉を頂いていたにも関わらず、ずっと結果を残せずやりきれない気持ちを抱え続けていたので、今回ようやく最終2桁を達成できて本当に良かったです。今回は一つ「結果を残した」という実績を持っておきたかったため保存の形を取りましたが、今回このように結果を出せた以上は、これからはさらなる高みを目指し、次は1桁を目指して頑張っていこうと思います。

 長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

 

【Special Thanks】

・ディンルーの相談をした際、【思考過程/構築経緯】③の考え方を教えてくださっためろさん

・大きくポケモンモチベを上げてくださったオフ運営の方々。また、オフにてお話をさせていただいた方々

・竜舞オフで優勝して、心の炎を燃やさせてくれたきてふわ

・なかなか勝ちきれないにも関わらず期待してくださり、応援の言葉をかけてくださった方々

 

 

何か質問等ございましたら、私のX(@96rh1no_to_v)のDMまでご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

 

【宣伝】

YouTubeで配信を行っておりますので、ぜひチャンネル登録お願いいたします&遊びに来てください!

www.youtube.com

また、大会などで実況解説の仕事をしたいと思っております。お仕事の依頼等ございましたらX(@96rh1no_to_v)のDMまでご連絡ください。